忍者人別帖-古今東西の忍者を紹介-

藤林長門守は服部半蔵・百地三太夫と並び、伊賀三上忍に数えられる藤林家の当主。
伊賀の上忍でありながら、他の2名と比べても意外なほどに資料が残っておらず、その実像は謎に包まれている。

藤林家は伊賀北部の湯舟郷を支配しており、甲賀との境に接しているため、伊賀忍者の中でも、とりわけ甲賀への影響力が強い人物と考えられる。

また、その資料の少なさと謎多き人物という点から、百地三太夫と同一人物であり二つの人格を使い分けながら伊賀を支配していたとの説もある。

かつて今川義元に雇われていた際に、武田信玄の軍師である山本勘助に忍術を伝授したのと記録も残っている。

なお、忍術秘伝書として有名な万川集海を記したのは、彼の子孫である藤林保武である。

風魔小太郎は小田原北條氏に仕える忍者、風魔党の頭領が代々名乗る名前である。

その中でも最も有名なのは5代目の風魔小太郎であり、その容姿は「身の丈七尺二寸(2m16cm)、筋骨荒々しくむらこぶあり、眼口ひろく逆け黒ひげ、牙四つ外に現れ、頭は福禄寿に似て鼻高し」とさながら鬼のような姿だとされている。

また、高く声を出せば五キロ以上届き、低く出せば、波のように響きわたり不気味であったともされている。

風魔小太郎が活躍したのは、1580年に武田勝頼率いる大軍との黄瀬川の戦いである。
風魔小太郎は、配下の風魔忍者たちを4つの舞台に分け、度重なる奇襲を仕掛け武田軍を引上げさせたとのことである。

百地三太夫は伊賀において、服部家・藤林家とならび三大上忍とされる百地家の当主。
石川五右衛門・霧隠才蔵の忍術の師とも言われている。
また、『三太夫』は個人の名前ではなく、服部半蔵、風魔小太郎のように百地家の当主が襲名する名前との考えもある。

百地三太夫は、第一次天正伊賀の乱にて、伊賀忍者達を束ね、織田信勝率いる織田軍に散々たる被害を与えるも、信長自らが軍を率いた第二次天正伊賀の乱では、甲賀忍者たちの寝返りもあり、最後は壮絶な討死を果たすこととなった。

また、彼の名は海外にも広く知られており、国際スパイ博物館にも展示があり、忍者の代表格として扱われている。

伊賀忍者の頭領とされ、徳川家康に仕えた忍者。
服部半蔵は代々服部家の歴代当主が名乗る通り名である。

もっとも忍者だとされているのは初代半蔵である服部半蔵保長のみだと言われている。
初代服部半蔵は伊賀出身の忍者であり、室町幕府12代将軍足利義晴に仕えた後に、三河へと渡り後の徳川家康の祖父である松平清康に仕えた。

二代服部半蔵正成は最も有名な服部半蔵であり、多くの作品に登場する服部半蔵は彼がモチーフとなっている。
服部半蔵正成は、伊賀同心の支配役であり、伊賀忍者・甲賀忍者たち、徳川家に仕える忍者たちを率いるものの、彼自身は徳川十六神将に数えられる武将であり、『鬼半蔵』『槍の半蔵』と呼ばれるほど、その武芸の腕は優れたものであった。

残念なことに三代目の服部半蔵正就は伊賀同心を家来扱いしたために、反発が起こりやがては伊賀同心を束ねる役目から解任され、さらに大阪の陣にて姿を消してしまう。

ちなみに、東京にある半蔵門は江戸城にある門の一つであり、大手門と正反対の位置にある。
名前の由来は、服部正成・正就父子が門を守っていたことから半蔵門と名付けられたとされている。
半蔵門の門外には伊賀同心と服部家の与力が組屋敷を構えており、四谷へと通じる甲州街道沿い一帯が旗本屋敷で固めら、襲撃に備えられていた。